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宮司のいい話

No.201

塩とお祓

神道には八百万の神々様がいらっしゃいますが、大きく分けると天つ神と国つ神に分けられます。天つ神とは天からお恵みをくださる神様です。国つ神とは地からお恵みをくださる神様です。天から太陽の光や熱や空気をいただき、地から水や養分をいただき、その両方の神様からのお恵みによって、人間を始めあらゆるものが生かされているのです。
神様への基本的なお供え物として「米・塩・水」を必ずお祭りにお供えします。それは何故かというと、水と塩は国つ神からのお恵みであり、我々が生きていくためには絶対に必要なものです。そして、太陽の光や熱や空気という天つ神のお恵みをいただいてできたのがお米です。そうした天つ神と国つ神のお恵みによってできた、我々が生きていくために欠かすことのできない大切な物だから感謝の心で必ずお供えするのです。
ここでお塩について考えてみましょう。お塩はどうしてできたのかとなりますと、地球の内部のどろどろしたマグマが海の中に吹き出て、海水で冷やされてマグマの成分が出てきたのが塩だといわれています。
約四十五億年くらい昔に地球が誕生し三十八億年くらい昔に地球の水のなかに生物が誕生し、十億年くらい前に地球が空気に包まれはじめ、五億年くらい前にオゾン層ができて地球が温暖化し、地上に生物が上がってきたと考えられています。ですから、三十八億年前に海の中で誕生したといわれる生物の子孫がわれわれでありますので、人間の血液などの体液は、海水と非常に似た成分でできているのです。生物は塩がなかったら生きていけません。私たちの身体には約〇・七パーセントの塩分がふくまれています。塩はマグマのエネルギーですから、それによってわれわれは生かされているということになります。
人間の体液のほとんどの成分は塩水です。塩水から、生きるエネルギーが出てくるのです。ですから、病人が衰えるとリンゲル液という塩水を注射します。塩水を体の中にいれることによってその人のエネルギーが出てくるのです。
お塩でお祓いをしたりお清めをしたりします。これは、伊邪那岐命が海水によって罪・穢をみそぎ祓いによって清められた故事によるものです。塩は国つ神の、ものを生かす力ですから、その力によって罪・穢が祓われます。罪とは、つつむといった意味からきており、清らかなものを包み隠すという意味です。穢は尊い気を枯らすことで、気は(ケ)とも読みますので、「けがれ」は元気の衰え、精神力の衰えのことです。ですから、罪・穢はマイナスのエネルギーで、そこに塩を振りかけると国つ神のプラスのエネルギーが与えられ、マイナスの気の衰えが復活して罪・穢が消えるというのが祓いの根本です。祓いはエネルギーの回復を願ったものです。
つまり、塩というものは、マグマから生まれた地球のエネルギーであり、塩によって生物が誕生し、塩によって生物が生かされている。そして、塩によって罪・穢が祓われ、人間本来のエネルギーが再び取り戻されるのです。
普段何げなく使っているお塩ですが、人間のルーツや大自然と人間の深いつながりを証明しているのです。参考:葉室頼昭著「神道
見えないものの力」春秋社

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