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宮司のいい話

No.222

「トゲ」と「大けが」

人は大問題に対しては、毅然とした態度で立ち向かうことができます。

大地震などの天変地異や、家が火災で焼け落ちたとか、自分が大病を患ってしまったなど、人生を揺るがすような大問題に直面した時、人は思いのほか黙々と対処することができたりするものです。
これは、ほかに逃げ道がなく大問題を乗り越えていくしかないことで、腹を決めて問題に真正面から立ち向かい、努力をしていくからです。
本来、人間はこうした力を備えているのです。そのように頑張っていると、どんな大きな問題であったとしても、何とか乗り切っていけるものなのです。
しかし、私たちは日々の生活の中で、悩みや苦しみから解放されていません。天変地位などに比べたらほんの小さなことですが、心を奪われてしまい、くよくよと思い悩み苦しんでいます。
隣人とのいざこざ、会社における上司や部下との人間関係、親戚づき合いや家族関係などで、私たちは何かしら心を痛めることが多いのです。

なぜ、些細なことのはずなのに、これほどまでに心を痛めてしまうのでしょう。
それは、何事も自分の思い通りにならないからではないでしょうか。
例えば、あなたの中で、「こうあるべきだ」という基準があるとします。相手も当然、同じ基準で物事を考えていると思い、相手が自分に合わせることを無意識に期待し、相手には相手の基準があることに気づいていないのです。
十人十色というように、人はそれぞれ考え方や価値観、感性も違います。「常識」のとらえ方も、人によってさまざまに違ってくるのです。
例えば、あなたは人と顔を合わせたら挨拶をするのは当たり前だと思っているとします。道で、あまりおつき合いのない人とすれ違った時、「おはようございます」とあなたが挨拶をしても、相手が怪訝な顔で無視したとしたらどうでしょう。「挨拶を返さないなんて変な人だ」とあなたは思うでしょうし、腹を立ててしまうかもしれません。
一方、挨拶された人は、大して親しくもない人には挨拶をしなくても構わないという価値観を持っている人だったら、親しくもないのに挨拶するあなたのことを変わった人だと思うでしょう。

世の中には、自分とは考え方や価値観の異なる人がたくさんいるということに、私たちは意外と鈍感なのです。自分の思っている通りに物事が運ばないと、気に病んだり、腹を立てたりしてしまいます。
このような、ちょっとした価値観の相違が人間関係で大きな溝を生じさせてしまいます。自分は正しいと思っていても、答えは一つではなく、いくつもの答えがあり、いくつもの正義があるのです。

メロンが好きな人は、メロンと言えば果物の最高級品で、とてもおいしくて、誰に贈っても喜ばれると思うでしょう。「おいしいですよ」と周囲にもすすめるでしょうが、中にはメロンが嫌いな人がいるかもしれません。メロンより、リンゴやミカン、あるいは桃が好物の人もいるでしょう。
自分の「常識」を、相手は「常識」ととらえていないことは、実は非常に多いのです。しかし、そのことに気づけず心のすれ違いが生じて、いちいち気にしてしまうことで、私たちの悩み苦しみが生まれてくるのです。
他人の悪口は言わない方がよいと思っていても、近所づき合いをしていると、人の悪口ばかり言っている人はいるものです。一緒にいてもつまらないですが、つき合いをやめるわけにもいかず、悩んでしまうのです。

私の妻は他界しましたが、生前いろいろな人間関係で悩んでいた時期がありました。そんな時、妻の父親が亡くなるという出来事が重なってしまったのです。
妻は父親の葬儀の時、自分はなぜあんな小さなことで悩んでいたのだろうと思ったそうです。それまで対人関係でさんざん思い悩み苦しんでいましたが、父親を亡くすという大問題の前では、それらは取るに足らない些細なことだったのです。

人は大問題に直面し、対処を迫られると、一つ高い次元から物事を見られるようになります。そして、高い次元から、これまで思い悩んでいた物事を振り返ってみた時に、実は大問題に比べると小さなことだったと気づかされるのです。
私たちが思い悩み、苦しんでいることは、原因を探っていくと、本当に些細なことから始まっている場合がほとんどです。しかし、生死を分けるような、人生を左右するような大問題には、人は敢然と立ち向かい、対処する力がわいてくるのです。
そんな大問題を「大けが」とたとえるなら、私たちが普段思い悩んでいることは「トゲ」が刺さったようなものなのかもしれません。過去に大問題を乗り切ったことを思い出せば、日常の悩み苦しみの小ささに気づくはずです。

「大けが」から生還できた人が、「トゲ」が刺さった程度で命を落とすことはありません。狭い心にとらわれず、物事を大きく見ていくと、他人は他人、自分は自分という考えにたどりつきます。
他人をこうしよう、ああしようと思うことで苦しみが生まれます。他人は他人と割り切って、人は皆、苦しみの中で成長していくものだと大きな視点から考えれば、自分の悩みや苦しみも小さなものに思えてくるのではないでしょうか。

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