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宮司のいい話

No.237

宿命と運命

「宿命」とか「運命」とかよく耳にします。一般的に宿命は宿る命で、自分が生まれた時に決まっていて、変えられないものとされています。又、運命は運ぶ命で、どうやって生きるかは、自分で自由に変えることができるとされています。
一般的に宿命と思われるのは、性別や実の親子との関係、生まれながらに持っている病気とか、身体に不自由が有ったり、天災や人災で人生に大きな変化をもたらされてしまうような、自分ではどうしょうも出来ない事を宿命と思うわけです。名誉管長の木村剛正先生のお母様、うづめ教会の教主故木村輝先生は、内閣総理大臣を二回もされた、山本権兵衛様のお孫さんです。
木村輝先生は三十八歳の時に、病気で目が全く見えなくなりました。突然の失明で大試練に遭遇されたのですが、失明は神様の御心として受け止められ、ハンディキャップをはねのけて教誨師として犯罪や非行青少年の改善更生に尽くされ、勲五等宝冠章の勲章も受けられました。又、神道大教院の宣教師としてご活躍され、多くの信者のご指導もされました。木村輝先生は、目が見えなくなったからこそ神様のお使いが出来たと感謝されていました。普通の人なら、自分の宿命不遇を嘆き、悲しみのあまり、不平の心で一生を過ごす人も多いと思います。逆境を順境に変えられ、感謝の生活を送られ、大きな業績を残されたのです。
不運を宿命として諦めてしまうか、運命として切り開いていくか。宿命と運命の境界線は自分で引くことが出来ます。
でも、宿命の引力に影響を受けて宿命に支配されてしまう人生も有ります。「宿命一割」「運命九割」の割合と思って、どんな状況の中からでも、人生を変えていくことが出来るのです。
人間はいつでも変われるのです。でも、なかなか変わろうとはしない。今の状況に慣れ、親しんで変化を求めようとはしない。今の境遇に不満を持ちながらも諦めてしまっている、でも普段と違う事を何か始めると、何かが変わって少し気持ちが「ワクワク」してくる。
すると、今までの自分の殻から抜け出すきっかけになってきます。
人生の目的は、自分らしく生きることと、人とのつながりを大切にしていくことに有ります。
宿命に支配されることなく、運命を切り開いていく、前向きな心が大切です。
何か大変な事態が起きた時、もうダメだと絶望するか、もっと良くなる切っ掛けと前向きに受け取って行くか、大きな人生の岐路となって行きます。エジソンは、自分の工場が火事で丸焼けになった時、悲観するのでは無く、落ち着いた様子で「これはもっと良い設備に変えるチャンスである」と言ったそうです。
宿命に支配される人生ではなく、どうやって生きるかを自分の運命として、選び取っていく、自分らしい人生を切り開いて行きたいものです。

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