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宮司のいい話

No.154

杖言葉

皆さんには自分が生きていく中に、人生の支えとなる言葉や戒めとなる言葉がそれぞれあるでしょう。「座右の銘」とか「好きな言葉」などと言われています。お坊さんで、南無の会会長の松原泰道さんは、人生は「旅」であるから、旅に大事な杖になる言葉ということで、「杖言葉」と言っています。
私の杖言葉についてお話しします。私が大学を卒業し札幌八幡宮の神主として務めて間もないころ、神道大教の長老で女性の神主さん、今は亡き大橋咲先生に初めてお会いしたとき、「人間はね、初対面が大事。最初に相手に飲み込まれると、一生頭が上がらないから」と、お話しくださいました。
初対面で苦手意識を持ってしまったり、相手の勢いに飲み込まれてしまったら、何故かいつまでたってもその人と対等になれないような、引け目を感じてしまうことがあります。だからといって、初対面のとき、殊更に自分を誇示したり、威張ったり、相手を見下ろすような態度を取っては、逆に自分の人格が疑われてしまいます。
初対面の人には、心に緊張をもって接することです。そうしなければ相手にだまされたり、自分の魂を奪われてしまうことにもなりかねません。例えば、悪い新興宗教に引きずり込まれたり、異性に心を奪われて人生を狂わせてしまうこともあるでしょう。最初の出会いによる心のスキが大きな間違いを生み出すことにもなりかねないのです。
初対面は勝負の立ち会いと同じです。立ち会いで引けを取れば負けてしまいます。心を惑わされないように、魂を奪われないように、自分の心をしっかりと持ちつづける緊張が必要です。そして、緊張を人に見せず、気負わず、自然な対応ができれば素晴らしい対人関係を展開していけるのではないでしょうか。
私は、「初対面が大事」を杖言葉として、初対面の時ばかりではなく、まだ気心の知れていない人と付き合う時にも気をつけるようにしています。
人間、人がいいばかりでは駄目なのです。しっかりとした一念を持つことも大切なのです。そんな意味で、私は初対面のときに相手に飲み込まれないように心掛けています。
次の話は、私が中学生のときです。神様にお供えされた「おつまみ」の大袋を一人で全部食べてしまい、次の日おなかを痛くして苦しんでいると、朝のお参りをしていた母に神様がお下がりになって、私にお告げをくださいました。私の母は、神様や亡くなられた人と交信ができる不思議な霊感をもっていました。四十年も前のことで定かではありませんが、内容は「何事も腹八分目にせよ」とのお言葉であったかと思います。神様が私にくださったお言葉はこの時だけです。
たった一度の短いお言葉ですが、私の人生における欠点を見透かしたお言葉であると思います。腹八分目が身についていれば、今のように、体重も百キロ近くまでにはならなかったでしょう。またお酒を飲み過ぎて失敗をすることもなかったでしょう。腹八分目を心掛けて体を大切にしていきたいと思っています。
また、「何事も腹八分目」のお言葉は、単に食欲だけのことではなく、心や精神的なことにも当てはまると思います。何事も腹八分目で自分の心を押さえることができるならば、短気な心も爆発させずにすむでしょう。心配性の心も、余裕がもてるようになるでしょう。人を叱っても叱り過ぎて、逆に反感を持たれてしまうこともなくなるでしょう。くよくよ悩んでも、心の切り返しによって開き直りの心になれるでしょう。愚痴る心にも、物事の真理を見極め、反省の心を持つことができるでしょう。恨む心もあきらめの心へと変わっていくでしょう。
神様のお言葉には奥深い諭しがあります。「何事も腹八分目」は私の生涯の課題となる杖言葉です。
先人の知恵や体験が我々を良き方向へと導いてくれます。
皆さんも、自分の人生の支えとなる「杖言葉」を持ってください。そして、その時々に応じて杖言葉をじっくりと考えましょう。

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